多田野一人

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あれ…ギュッと握った拳に、雫が落ちてきた…なんで…と思うそばから、次々に頬を伝って落ちてくる…次第に滲んでゆく視界、喉の奥から、声にならない何かがこみ上げてくる…
私の前を歩く、二人組の背中…見慣れた、あなたの広い背中と、長い髪を揺らす背中…時々見えるあなたの横顔は、迚も優しくて、微笑んでいる…いつも、遠くから見つめているだけだけれど、あなたの姿が見えるだけで、ドキドキして、気持ちも昂っていた…誰にも負けないくらい、いつもあなたを目で追っていたから…知らない誰かと、一緒にいるのが…止め処無く溢れる雫…でも…だけど…やっぱり…色々な想いが一気に押寄せて…

4/21/2024, 2:47:39 PM