いつものように古びた建物に入ってドアを開ける。
「いらっしゃい、ってまたアンタかい。
今日は誰の秘密見に来たの」
少し枯れた声を出しながらお婆さんは言う。
「ううん今日は誰も知らない秘密を探してるから
今日は誰の秘密も見ないよ。」
ここは色んな人の秘密を知れる名前も無い店。
何度来たってお婆さんは名前を教えてくれないし
私だって本名を教えては居ない。
きっとこのお婆さんは知っているかもしれないけど
「今日はここら辺に居てもいい?」
「いつもそこに居るだろう」
なんて会話しながら今日も誰も知らない秘密を探す。
─────『誰も知らない秘密』
2/7/2025, 11:57:30 PM