雪を待つ
朝、目が覚めると、隣で寝ていたはずの彼女がいないことに気がついた。
階段を降りて、リビングへ向かう。
そこで窓に張り付いて、外を眺める彼女を見つけた。
「何してんの?」
鼻声の俺に顔を向け、ニット笑って答えた。
「雪を待ってるの」
「雪?」
「そう、雪。」
そういえば、空はワタのような雲で覆われている。確かに今にも雪が降り出しそうだ。
「天気予報でもこれから寒くなって行くっていってたからさ。もしかしたらもうすぐで降るかなぁって、そう思ったら寝てらんなかったの。」
いかにも楽しげに話す彼女。
「ふーん、でもなんで雪?去年そんな楽しみにしてたっけ?」
コーヒー片手に彼女と同じように窓の外を眺めた。俺の質問に彼女はなぜか赤面した。
「?どしたの?」
俺が聞くと、彼女はスッと幸せそうな顔になった。
「ほら!去年、北海道に旅行に行ったでしょ?そこで雪合戦したり、鎌倉作ったりしたじゃん。それがさ、なんていうか、凄く楽しくてさ、、」
彼女の言いたいことが分からず、小首を傾げて続きを促すと、
「私、雪って今まで好きじゃなかったんだけどね。寒いし、冷たいし、歩きづらいし。でも、あんな楽しいの知っちゃったら、好きにならないわけないじゃん。だから、また去年みたいに遊びたいなって。」
太陽のような笑みを浮かべ、俺を見る彼女。
「ふーん、そっか。」
俺はあえてそっけない返事をし、そっぽを向いた。赤くなる顔を見られたくなかったのだ。
「雪、まだかな。俺も、待ち遠しくなっちゃったよ。」
12/15/2024, 10:12:27 AM