はと

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ご自愛ください、長くないんですから。
お医者さまにそう言われて、思わず目を点にする。
どうやら私の寿命は長くは無いらしい。
思えば、自分のために生きたことはないと思う。
小さい時は親のために、大きくなっては他人のために。
なんとなく、自分以外の人のために生きてきたように思う。
けれど、それでいいんだと思う。
みんな、みんな、笑ってくれていたから。
心配そうなお医者さまの顔を見ながら、私は笑う。

「それでも良いです、私、誰かのために生きられるなら」

誰かのために、私の寿命を全う出来るのであれば。
それが、私の本望なのだから。


「誰かのためになるならば/20240726」

7/26/2024, 12:17:29 PM