こけし

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みんなと同じ生活

私は羨ましかった。普通の扱いをされることが。

転校の多かった小学生時代。その影響でなのか、言葉を上手に話したり書いたりすることができなかった。だから、私は毎週のように特別教室で、言葉の勉強をしていた。発音がおかしくて、言葉もあまりわからない、カタカナも読めない。
そんな自分が悔しかった。

小学5年生まで、こんな勉強をしていた。それまで、先生に助けられていた。例えば、私の席の横に先生がいて手伝いをしてくれたりだとか。正直に言えば、とても助かったし、心強かった。でも、自分ひとりでも何かをやり通せる力がなんとしてでも欲しかった。

転校するたび、先生たちは私を優しくしてくれた。教科書を忘れたときだって普通の人だったら怒るのに、私には怒ることはなかった。新しい学校生活になれなくて躓いた時も怒ることなく支えてくれた。正直、嬉しかった。


だけど、私は特別教室で勉強をしたり、転校生だからと優しくされたり、嬉しいことでも、普通の学校生活を送ってみたかった。みんなで授業を一緒に受けて、いつまでも一緒にいれる生活をしたかった。みんなと同じ。でも、やっぱりそれは叶えられなかった。中学校に進学しても、転校してきた頃の私を面白半分でバラしていく男子。それを聞いたクラスメイトは段々と私から距離を置いていく。

苦しい、怖い、帰りたい。 寂しいよ。

2/10/2024, 10:47:01 AM