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 どこまでも続く青い空。
 僕たちはどこに向かえばいいのだろう。果てしなく続く道の上で、僕は立ち尽くしていた。
 そんな僕の隣で君は、「まあ、なるようになるよ」と明るく笑う。

「仕事やめちゃったの?」
 直球な質問に僕は目を逸らした。
「やめちゃったというか、まあ」
 その、ええっと、と言葉を濁す僕を彼女が追撃する。
「やめたんでしょ?」
「はい」
 彼女が箸でからあげをつつく。僕は喉の急激な渇きを感じて、慌ててグラスに手を伸ばした。
「わたしは向いていると思ったんだけどな」
 彼女は箸をビシッと僕に向け、左から右に動かしてみせた。あの仕事は、君に、向いている、と小声で繰り返した。
「そうですかね」
 そうだったなら。本当に向いていたならば、僕はいま無職にはなっていないだろう。その言葉を飲み込んで、僕は愛想笑いを浮かべる。
「まあ、また、いい話があったら紹介するよ」
 彼女は僕をまっすぐ見つめて、唐揚げを一口で食べた。
 このあとの記憶はあまりない。僕は「ああ、はい」と言ったのか、「ありがとうございます」と言ったのか。会計が普通に割り勘だったことだけは、のちの財布が語ってくれた。無職にはきつい出費だった。彼女は近々連絡をよこすだろう。なんにも考えずに僕は「はい」と返事をしてしまう未来まで容易に思い浮かぶ。きっとまた、向いていない仕事をしばらく黙ってこなすのだ。ああ、そんな人生なのだ。僕はそんなやつなんだ、と溢すと、君は「そんなことはないよ」と優しく声をかけた。
「いつだって選べる立場にいるんだから」
 君は太陽のような笑顔でいる。

10/23/2023, 12:16:25 PM