お互いを想いあって、ドキドキしながら初めてしたキス。緊張して歯がぶつかったね。その内上手になっていって、情熱的なキスもしたね。
もう貴方とは何年もキスをしなくなった。私の唇はすっかり貴方の唇を忘れてしまった。それなのに…貴方は誰か知らない女と何度も何度もキスをしていますね。きっと私の唇なんてもう見向きもしてくれない。
結局離婚もせず、貴方を野放しにした。最期まで。沢山の花に囲まれて…ああ悔しい。最後に花を手向けるのは妻の私。最後位私を思い出して欲しい。
「…私は貴方を愛していました。貴方は私を愛してくれていましたか?酷いじゃないですか。一方通行なんて。せめてあっちに行く時に持っていって下さいな」
手向けの花を置き、唇を合わせる。すっかり体温を失ってしまった唇。頬に一粒の涙を落として−
「kiss」
2/4/2023, 11:00:45 AM