「待ってて」
彼女は待っててくれない
彼女はいつも先に行ってしまう
彼女はいつも私より先にいて
才能も実力も個性もある彼女はどんどん進んでいってしまう。
遠くへ行ってしまう
いつ私の手の届かないところまで行ってもおかしくない。
そんな彼女と一緒にいると嫌われてるのかなと思うことがある。
私は彼女と違って才能も実力も個性もない。
彼女は私から見たら既に上にいて、周りからも評価されて、期待もされて十分凄いと思う。
けれど彼女はどこまでも追い求める。
満足という言葉を知らないのか、どこまでも追求する。
常に努力を怠らないし、気も抜かない。
油断もしない、基礎も怠らない。
自分の立場を自慢したり威張ることもない。
努力家で目標に真っ直ぐひたむきな彼女に私など釣り合うはずもない。
なのに彼女はよく私と一緒にいる。
彼女は私にとって憧れでもあり尊敬もしている。
そんな彼女はまさに別世界の人のようで。
私なんかと一緒にいても張合いもないだろうし、得られることもそうないと思う。
私は特別何かを持っているわけでも優れた技術や才能がある訳でもない。
無口な彼女は何を思って私と一緒にいるのだろう
出来ない私に対して意見を言う事はあっても教えることはない。
みんなから出遅れている私を励ますことはあっても手を加えたりはしないし、断言もしない。
彼女は変わらず私を置いていく
それでも彼女は私の隣にいる。
実力はあんなにも離れているのに、彼女は決まって私の隣の席に座るし、帰り際も隣を歩く。
なんだかとっても不思議な感覚だ。
彼女は隣にいるのに、まるで別世界にいるようで
授業の時は特にそう感じる。
いつか実力だけでなく私の隣からも居なくなってしまうのだろうか。
彼女が私の隣に居る理由は分からない
それでも彼女の隣に居たいといつしか思うようになった。
彼女と対等な立場になりたいなんておこがましいと思う。
我儘で強欲な願いだって分かっている。
でも、彼女はいま隣に居てくれている。
彼女は私を置いていく。
彼女は待っててくれない。
隣に居てくれている理由なんてどれだけ考えても分からない。
分からないけど、ただ隣にいるだけは嫌だから
ちゃんと実力も技術も彼女の隣でいたい。
遠くへ行ってしまうなら私もついて行きたい
それに見合う実力で。
彼女は待っててくれない。
もうそれでいい。
いや、それがいい。
それでこそ彼女だから。
私は待っててくれない彼女の隣に居たいと思ったのだから。
目標を追い続ける貴方に必ず追いついてみせるよ。
だからいつか隣に行くまで振り向かないでね。
あなたは目標だけ追い続けてて、そんな貴方の隣で一緒に目標を追い求められるように頑張るから。
2/13/2023, 3:10:34 PM