徒然

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義母と最後に交わした言葉が何だったのか思い出せません。
スピーカーをオンにした夫のスマホを通して、お互いごくありふれた挨拶の口上を述べたはずです。何気ない会話の範疇を出ませんでした。
まさかその三日後に逝ってしまわれるなんて、夫も私も思ってもみませんでした。確かに入院から二年半以上経ってはいましたが、今となっては最後になってしまったスマホでのやり取りも、特に違和感を覚えることなく普段どおりと思えたので余計に信じられない気持ちでした。
近々またお見舞いに伺う予定でもあったし、また普通にお話しできると思っていたので、義母との最後のやり取りは、当たり前だと思っていた日常の中に埋もれてしまったのでした。
ただ、最後のやり取りで印象に残っている声はあります。
生後四か月、喃語がわずかに出るようになったばかりのわが子、彼女の孫の声をスマホ越しに聞いて、嬉しそうに何度も名前を呼んでくれました。
繰り返し繰り返し、孫の名前を呼ぶ弾んだ声。未だにふと思い出すのはあの声ばかりです。

6/27/2025, 2:24:45 AM