あぁ疲れた。頑張ったんだ。皆やらないから。一人で頑張ったんだ。ずっと。皆がやらないから。相手をガッカリさせたくないから。やると約束してしまったから。皆やらないから。頑張ったのに。間違えると怒られる。失敗すると怒られる。皆がやらないから一人でずっと頑張ってきたのに。やろうとするとコレは違うと言われる。やったものにもケチをつけられる。皆に喜んでほしいのに、誰も喜んでくれない。私を見ると腹立たしそうにする。分かってるんだ。分かってるよ。私が下手な事ぐらい。でも誰もやろうとしないじゃん。だから頑張ったのに。誰も私に感謝してくれない。どうして?ねぇ。私疲れちゃったよ。なんで褒めてくれないの?認めてくれないの?どうして怒るの?責めるの?何も分からない。私だけがやるから私だけが失敗する。皆やらないから皆は失敗しない。怒られない。他人の声の一つ一つが怖い。怒られそう。責められそう。ケチ付けられそう。怖い。誰か。誰か。助けて。認めて。褒めて。誰か。誰か。
「頑張ったんだね。偉いね。一人で頑張ったんだね。疲れたんだね。そうだよね。こんなに頑張ったんだから。君は優しくて責任感がある子だね。だから一人で頑張ったんだね。凄いね。休もう。疲れちゃってるんだ。休もう。」
あぁ認めてくれる人がいる。褒めてくれる人がいる。嬉しい。頑張ったかいがある。疲れたんだ。良いよね。休んでも。良いよね。優しい言葉。他人に怒られるのが怖くてビクビクしていた私に差してきた一筋の光。休んでも良いよね。あぁこの光が休もうと言っているんだ。休もう。休もう。
「あいつ、仕事来なくなったな」
「助かった!出来ないことも、やります!やります!って言って、あいつがやる仕事こっちにしわ寄せが来てたから。本当に助かった。コレで定時であがれる!」
「元から定時あがりだろ。お前」
「仕事は定時で帰るものよ。というか確実に仕事を仕上げてこそ信頼に繋がるんだよ。だから私はできるものしか出来るって言わないし、出来ないものはやりません!」
「そりゃそうだけど。そんなの詭弁だね。仕事で出来ることだけやっていても会社は回らない。多少の無茶をしないと」
「それもそうだけど。研究じゃないんだから、終わるめどが立たないものまで引き受けてたら身がもたないよ。終わるめど立ってないから結局終わらないし。私だって残業はするときはするんだよ?ただ日常的にしてないだけで。だって業務時間過ぎてやる業務って何?それを日常的にって。馬鹿だよね」
「はぁ。でも責任感と優しさが空回りしているようなやつだったな。あいつ」
「責任感がある人は出来ない事を出来るって言わないし、優しい人は出来ないことを出来ないって言う。じゃないと結局は相手に迷惑かけることになるって分かってるから。そこまで相手の事を考えるから。それをせずに、出来る出来ると馬鹿の1つ覚えのように言うのは、承認欲求が強すぎるだけなんだよ。優しさとか責任感のへったくれもねぇ」
『それなぁー!!』
「おい。言葉遣い!それより仕事しろよ仕事」
『はーい。』
題「一筋の光」
11/5/2022, 10:57:34 AM