ななせ

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背の高いキャンドルの炎の向こう
ちらちらと、あなたはそこにいた
私はあなたを見ていたはずなのに
あなたから目を離しなんかしなかったのに
あなたは揺れる炎と共に
くゆる煙と共に
ゆらゆらと、ゆらゆらと
その体を空気に溶かした
あなたはあの時、確かに発狂していた
静かな
誰にも聞こえぬ
犬さえも 蝙蝠さえも
誰も 誰にも知られぬ
静かな発狂
私には到底理解できないそれは、ひどく美しく
いつまでも胸を刺し
私を慰めることをしない
夕日に照らされた横顔と
あの日砂になって消えた
あなたの優しい微笑みは、誰への手向け?
差し出された花とは、私への報復?
また私の前に現れてくれたなら、あなたの足首を噛ませてください
私の首を噛んでください
あなたがどこにも行かないように
私があなたから離れられないように
あのキャンドルの溶けた蝋を
そのまま私の舌に垂らしてください
真っ赤な炎で、私の爪を焦がしてください
あの日風に攫わせてしまった
あなたの砂を飲めなかった
私に罰をください
そうして全ての罪が赦されたとき、私は盲目の魚になって、ひとり海の底で死んでいくのです

お題『キャンドル』

11/19/2024, 11:53:44 AM