「私プレゼントって嫌いなんだよね」
西武、三越、高島屋を3件ハシゴしても見つからず、
新宿の寒空の下を2時間も歩き回ってようやく見つけた大事な大事な僕のプレゼントを見て彼女は言った。
僕の表情を見て、
更に残念そうに眉を下げる彼女
一体どうしたというのだろうか
まさかプレゼントを用意して
こんな顔をされるとは
納得出来ず、僕は必死に弁明した
目に染みるほど寒い街の中、
どれほど君を想って足を動かしたか
しかしますます不機嫌になる彼女
どうして?どうしてだ?
努力虚しく耐え難い沈黙の後、
彼女の紅色の唇がゆっくりと動いた
「こんなもの用意しなくても
君がこれを探してた数時間
私と一緒にいてくれたら、
それだけでもう最高のプレゼントだったのに…」
聞き終えるより早く、あまりの愛おしさに
僕は彼女の細い肩を抱きしめていた
彼女の暖かい体温を感じるー
その前に
あまりにも無慈悲な音が彼女をかき消した
事実を述べるならば
スマホのアラームに呼び起こされた
何度か瞬きをし、全てを理解して
枕元のスマホを見るとLINEが届いていた
「店長!クリスマスケーキが有り得ない数届いてるんですけど…もしかして誤発注ですか?」
最悪のプレゼントに、思わず僕は呟いた
「俺プレゼントって嫌いなんだよな…」
12/23/2022, 12:11:11 PM