杉山ネズ美

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柔らかな暖かい陽の当たる昼下がり
何気のない、他愛もない言葉を交わし笑い合い、
二人で花を造る。
この長屋ではよくある、特段珍しくもない風景。
そのことを持ってしても、その度に決まって頭によぎってしまう。

平穏で居心地の良い、おれの一等大切なこの一時も
「何時しか自分の意思に反し、望まずして瓦解してしまうのではないだろうか、取り上げられてしまうのでは無いだろうか?」と。

ぜいたくはこわい。それは金銭に通ずることでなく てもそうだ。一度覚えてしまうと、後戻り出来なくなってしまう。

それでも──そうだとしても、いつも願わずにはいられない。どうか、この苦しみのない、何も取り上げられはしない時間のまま、

───時間よ止まれ。






2/16/2025, 2:38:16 PM