私は毎朝、テレビで星座占いを見る。
「射手座の貴方は十二位!」
射手座の私は落胆する。
こんな日は一日中気分が暗くなるし、ラッキーアイテムを持ってない日は更に大きな溜息を吐く。
今日のラッキーアイテムはノートパソコン。
わざわざ今日の為だけにノートパソコンが買える程、私の財布は潤ってはいないのだ。
「はぁ」
また溜息だ。これでもう五回目。
「なに溜息吐いてんの?」
背後から声がした。
こいつは高校で同じクラスの男子。私の友達。
「あ、分かった。今日の占い、最下位だったんだ」
「ノートパソコン」
「は?」
「今日のラッキーアイテム。ノートパソコン」
「そんな洒落たアイテム、俺が持ってるわけないじゃん」
でしょうね。
私は本日六回目の溜息を吐く。
「もう駄目だ、人生終わった」
「占い如きで人生終わっちゃ困るよ」
「だって、自分のモチベ上げる方法なんて、占いくらいしか思い付かないし」
「いやもっと他にあるでしょ。趣味とか好きな人とかさ」
「そんなのないよ。何もないから占いに頼るしかないんじゃん」
毎日なんの変化もない、楽しい事など微塵もない。
今しかない十代なのに、過ぎた時間は元には戻らないのに。
私には何もない。それが焦る。
いいじゃん別に、占いなんて気軽なものでしょう。
こんなのでその日一日のモチベが上がるならいくらだって信じるでしょう。
「じゃあこうしようよ」
「え?」
「俺ときみが付き合うの」
「えっと、なんで?」
「彼氏が居れば、毎日モチベ上がるかもよ」
「モチベの為に付き合うの?」
「彼氏が俺だとモチベ下がる?」
彼氏、彼氏か。
それは考えた事なかったな。
「……ううん」
ラッキーアイテムは万年彼氏。
うん、それも悪くない。
#46 星座
10/6/2024, 8:21:44 AM