ヨルとこはく
穴が空いていた ちょっとした隙間
満たされていたかった 答が見つからない
ひどく苦しかった 一瞬満たされた後
一層罪悪感が募って仕方なかった
ヨルはひとりぼっち
いつも人を傷つけて
その倍傷ついた身体引きずって
全てを蔑みながら
四角いコンクリートの部屋
過去に埋もれていた
こはくは2人ぼっち
青い猫が友達
話す代わりに微笑んで
全てに背を向けている
二度と傷つきたくなかったから
閉じた輪の中で 仮面の下
ちぎれそうな心 繋ぎ止めて
爆発しそうな思い 服の下 押し込んで
いつも悲しかった とても苦しかった
背を向け合い泣いていた
真夜中 音の洪水に巻き込まれ
ふたりはめぐりあった
それが何か わからないまま
そしてある日 二人は夢を見た
海へ行く夢
次の日二人は 汚れた川を下って 海に出た
アスファルトの大地は終わって
打ち寄せる波 素足浸して
溶け合う空と海 目を凝らした
生まれたての子供のように
セカイの広さに 驚いた
ヨルとこはく まっすぐに見つめ
脱ぎ捨てた思いを
ビンに詰めて流した
生まれたての太陽から
輝く火をもらって
二人は裸足のまま歩き続けた
ヨルとこはく 二人はもう逃げ出さない
全ての扉開け放って 繋いだ手と手離さずに
*ヨル、こはく=人名
8/23/2023, 7:06:01 PM