#2 タイムマシーン
古びた展示室の隅に、そのタイムマシーンは置かれていた。動かない模型だと分かっているのに、ふたりはしばらく前に立ち尽くす。
「戻りたい時間ってある?」
そう聞かれて、少し考える。
昨日でも、数年前でもない。
「今が良いな」
そう答えると、彼は小さく笑った。
もし本当に時間を戻せたら、違う言葉を選んだかもしれない。違う距離感で、違う結末もあったかもしれない。でも、彼の隣にいるこの瞬間だけは、変えたくなかった。
展示室を出ると、夕暮れが広がっていた。
タイムマシーンはもういらない。この時間が、十分に大切だった。
1/22/2026, 12:32:18 PM