「何もいらない」
私は何もいらない。
そう言った。
家臣が大騒ぎとなった。
「姫、姫、望めば何でも手に入りますぞ」
私は家臣を見下ろした。
「だから、何もいらないという自由を望んだ。
いけないのか?」
家臣は首を振る。
「姫は何もお分かりでない。
施政者としてそれは許されませんぞ。
選ばなければなりません」
私は家臣を見る。
何を戯言を言っているのだ。
お前の望みを叶えたいだけだろう。
民は何が欲しいのだ?
それを申してみよ。
言えぬのであろう?
「民の下へ行く。
其方の話しが正しいか聞こうではないか。
でなければ、何も選ばぬ。
何も要らぬ」
「お好きされるがよろしい。
姫。選ばなければならない事がおわかりになる」
私は街へ消えた。
もう戻らない。
何もいらない。
民が求めないならば。
私が消えても民は困らないのだから。
4/21/2026, 7:23:36 AM