hashiba

Open App

煙草なんて珍しい。この夜更けにどこへ行ったのかと探してみれば、その人は窓辺で空を眺めて煙を吹かせていた。眠れないのか、考え事でもしているのか。その背中は窓枠に寄りかかり小さく丸まっている。初めて見る姿だった。勝手にどこか遠くへ行ったような気がしたが、それでもまだ星よりは余程近い。名を呼び、その背に触れようと静かに足を踏み出す。細い煙がわずかに揺れる。風のない夜だった。


(題:星空の下で)

4/6/2024, 2:20:51 AM