作家志望の高校生

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遂に、遂に成し遂げた。ここまでに数々のトラブルに見舞われ、何度も何度も失敗してきた、タイムマシーンの発明に。これさえあれば、これまで分からなかった過去を知ることも、この先起こる未曾有の事態を知ることもできる。
人類の希望と期待を乗せ、僕たちはタイムマシーンに乗り込んだ。行き先は未来。過去よりはリスクも少ないだろうということで、研究チーム一同で十年後の未来へ向かった。
着いた途端、目に飛び込んできたのは、荒廃した世界。草木は枯れ果て、偽物の、木々を模した金属の塊が点々と存在しているだけだ。僕らが予想していたような、今より少しだけ発展した都市は無くて、崩れかけたビルの群れと、吹き荒ぶ砂嵐だけが世界を構築していた。
「これ、は……」
誰も、声は出せなかった。本当にここは、僕たちの未来なのか。一体、何があったのか。立ち竦む僕らの元に、ボロボロの、焼け焦げたようなノートが一冊、強風に煽られて飛んできた。中を見るのは少しだけ気が引けたが、調査の一環なのだと言い聞かせ、開いてみる。
中身は、幼い誰かの日記帳のようだった。拙い字に、少し表面が溶けたようににじんでしまっている、クレヨンで描かれた絵が添えられている。
初めは、どこにでもあるような、普通の日記だった。夏休みに友達と遊んだ、新しいゲームを買ってもらった、庭の向日葵が咲いた。そんな内容ばかりだ。
しかし、ある日を境に、内容は一転。幼心ながら感じただろう悲しみや喪失感、絶望と、そんな内容ばかりになっていく。
どうやら僕らは数年後、これまでに類を見ないような、最大規模の戦争をするらしい。他でもない、僕らが作ったタイムマシーンを巡って。
僕達はもう、何も言えなかった。未来を、幸福を願って作ったのに、こんな結果は望んでいないのに。かつて、かの銃や爆薬を作った研究者達は、こんな気分だったのか、と、知りたくもなかった事実を知る。
僕らを一同に顔を見合わせ、ある決意をした。そして、再びタイムマシーンに乗り込んで、今度は過去へワープする。向かうのは、タイムマシーンが完成する十年前。
その頃見つけていた、タイムワープに必須の部品をいくつが盗んだ。これで、もうタイムマシーンは作れない。僕らの乗っていたタイムマシーンは存在しなかったかのように消え失せ、僕らは過去に取り残された。
そう、取り残された僕らは気づけなかった。きっと、この流れはこれまで何度も繰り返されてきたことを。僕らがタイムマシーンを開発できてしまった時点で、それはもう確立された未来だったことを。タイムパラドックスは、起こるはずもないのだ。未来はもう、決まっている。
時代に文字通り取り残された僕達は、未来の、僕らが来た時代の僕らがどうするのか、もう知る由は無かった。

テーマ:タイムマシーン

1/23/2026, 7:01:30 AM