親に敷かれたレールを進む。きっとこれは安心、安全な道だと信じて。決められたレールを進むだけの簡単な人生だ。
運命? そんなものがあるとしたら、きっとそれを決めるのは親なのだ。
それを決めるのは神様? だとしたら、神様は親なのだろう。そもそも僕という存在を創り出した神様のような存在だ。神様と言っても過言ではない。
そんな中で、君と出会った偶然も、運命だっただろうか?
運命は幾通りもあると、君は言った。僕が辿っているのは、その中の一つに過ぎないと。親が敷いたレールから外れて、違う未来に辿り着くこともできると。未来は無限にある。最初から決まったものなど、本当は何もないんだと。
敷かれたレール以外の未来が必要かはわからない。けれど、もし君が一緒にいる未来がその先にしかないんだとしたら、僕は、初めて――。
レールから外れた。神様に背いた。
すると神様は天罰を与えた。君がいない未来を歩くように。
そうして結局一緒にいられない。やっぱり、この未来は最初から決まってたんだ。運命は決まっている。何も変えることはできない。
運命は幾通りもある。未来は無限にある。
そう君は言っていた。運命は決まっていると思っていた僕の頭から、今もこびりついて離れない言葉。この言葉を忘れられないのも運命なのか? 僕は、君といないこの運命を受け入れるのか?
――わかっている。本当は、レールなんて、あってないようなものなんだ。
だって、今ここにいることすら、それは過去の僕が選んできた結果なのだから。知っていたんだ。ただ、そのレールから外れるのが怖かっただけだと。最初から決まってた、なんてことは何もないんだ。
運命は自分の力で変えることができる。未来は自分の力で作っていく。今度こそ君といる未来の為に、天罰すら超えてみせると、レールを蹴飛ばして走り出した。
僕の未来は無限だ!
『最初から決まってた』
8/7/2023, 10:11:23 PM