白桃

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『きらめき』

大きな窓から日が差し込む明るい部屋。
部屋の中は積み重なったダンボールが散乱している。
重い腰を上げてダンボールを開け始める。
ここは恋人との新居。
元々、よくお互いの家でお泊まりをしていた。
しかし、帰りたくないと感じる日が多くなってきて、ぽろっと口に出したことがあった。

「離れたくないなあ。」
「じゃあ、一緒に住む?」
「えっ?」

彼の言葉から同棲が始まることになった。
部屋探しから引越しの作業まで、とんとん拍子に事は進み、今日のこの状態に至る。
ふと自分の左手のきらめきに目をやる。
部屋に入ってくる日の光に照らされたシルバーの指輪がきらきらと輝いていた。

ガチャ。

「ただいまー。アイスカフェラテでいいんだよね。」
コンビニから帰ってきた彼がカップをテーブルに置きながらこっちを見る。
「ふっ、何ニヤニヤして〜。」

これからの未来に君がいることを実感した初夏の午後。


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季節はほんのちょっとさかのぼりますが……

9/4/2023, 1:13:16 PM