「あなたって、私以外に好きな人がいたことある?」
「いいえ、昔から貴方だけを一途に想っております」
彼はずっと昔からそう言ってくれた。私からしたら大したことをしていないのだけれど、彼にとって私は命の恩人らしいのだ。
「俺が貴方に助けられていなかったら、今の俺はありません。それくらい、俺にとっては運命の人なのです」
「そんな大袈裟な…でも、あなたと結ばれる運命だったのは嬉しい」
もし、赤い糸が目に見えるものだとしたら、私たちをしっかりと結んでくれているのだろう。見た目は普通の赤い糸でも、硬さがワイヤー並みでそう簡単に切れないものであるはずだ。こう表現すると、ロマンチックの欠けらも無いが。
「これからも、ずっと一緒に居ようね」
「ええ、末永くよろしくお願いしますね」
そう言って繋いだ手の温もりはとても温かかった。
テーマ「赤い糸」
6/30/2024, 11:12:37 AM