二人ぼっち
「二人ぼっちになっちゃったねえー」
遭難して一週間、漸く体調が整ってきた。温暖な気候の小さなちいさな島である。鳥がうじゃうじゃいる他は無人の孤島であるが、ただいま人類二人この孤島に辿り着いている。
「船では一人でゆっくり休暇を楽しみたいとか言ってたな、邪魔して悪い」
遭難して一人より二人の方が圧倒的に心強いに決まっている。言わなくてもいい皮肉を時々言う男だった。
揶揄われた方は、
「二人くらいなら誤差の範囲だからおk」
としれっと返す
まあ確かに誤差…偶然の賜物で一人ではなく二人ぼっちでこの島に投げ出されたのであった。
「懐かしいかい、日本が?」
「弾丸みたいに人が右往左往する東京がかい?」
二人ぼっちくらいがちょうどいい
そう嘯いて器用に魚を獲る網を作るのだった。
一人なら予期せぬアクシデントもそう起らず、人の群れの中では息もつけない程の煩さにやりきれず、二人くらいがちょうどいい。
そう言って彼は今度は銛を作るべく、貝を拾って研ぎ始めた。
どうやら気難し屋の彼が認める二人ぼっちの中に入れたようだ。
しかしこれどうやって帰るんだ。本気でこのまま二人ぼっちなのか。
それもまあ、二人ならまあ良いけれども、と思う程度には呑気者の相棒であった。
3/22/2026, 8:49:04 AM