また会いましょう
新人刑事 佐藤令子(さとう.れいこ)は、
憤っていた。
「あ~あ もうっ!またやられた!!」
ヒールの高い靴で、地団駄を踏む
その原因は、今世間を賑わせている
大泥棒 怪盗Mの存在だった。
今時怪盗なんて、そんな 非現実的な者
誰が信じるかと思ったが...
世間は、面白い物に目が無いと
改めて痛感させられた。
そして、そんなふざけた 怪盗を
警察は、未だに 捕まえられないでいる
のだ。
そして、その 怪盗が逃げた跡には、
必ず 「又会いましょう」という
メッセージカードが残されていた。
「絶対 こっちを おちょくってるとしか
思えない ムカつく~」
「先輩 愚痴は、その辺にして
そろそろ自分の部署に 戻ったらどうですか?」
令子の怒りを鎮める様に 科学捜査課の
水無月(みなづき)は、諫める。
「うっさい あんたは、 現場に出てないから 私の気持ちが分からないのよ!」
そう言って 令子は、怒りを 携えながら
科学室を出て行った。
扉が、閉じる音を 聞きながら、
水無月は、ため息を 吐いた。
「はぁ~ 先輩だけだよな~あんなに
いきり立って捜査してんの~」
やれやれと、肩を竦めながら、もう一度
ため息を 吐くと 水無月は
口角を上げた。
「ま、だから 面白いんだけど!」
彼の名前は、水無月 真名人(まなと)
科学捜査課の捜査員である。
ごくごく普通の彼ではあるが・・・
彼のもう一つの仕事を知る者は、
この警察署内には、一人も居ない。
11/13/2023, 11:51:05 AM