そこは、地獄だった。
比喩ではなく、言葉の通り。
蘇ることができなかった者達が、最終的に辿り着くこの世の果て。
血のような川が流れ、怨嗟の声が延々と聞こえる。
一人の女性が、そんな川のほとりを歩いていた。
裸足で、服がボロボロで、髪はパサパサで。
女性はうわごとのように、何かを呟き続けている。
「あなた、あなた、あなた、あなた」
「あなたあなたあなたあなたあなたあなたあなたあな」
それは呪言となって、川をさらに汚していた。
口が止まることはなく、永遠に続く川のように、永遠とその口から言葉が放り出されていた。
もしかしたら、真実のキス。なんてロマンチックなことをしたら、この未練は消えるのかもしれない。
だが、後ろからそんな人は追いかけてこなかった。
お題『Kiss』
2/4/2026, 10:54:03 AM