霜月 朔(創作)

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夏の気配



君にずっと憧れて。
君の背中を追ってきた。

友達として、
ライバルとして、
君と並びたくて。

でも。
どんなに足掻いても。
君との距離は遠くなるばかり。
なのに。
君への想いは強くなる。

君への想いを隠して。
せめて友達として、
君の側に居たかった。

君の背中は遠くなる。
影の黒さが強くなる。

胸の軋みを誤魔化し、
痛みから逃げるように、
天を仰ぐと、
空は悲しい程に、
青くて、高くて。

太陽の眩しさに、
目が眩む。
その衝撃に耐えられず、
俺の心は闇に潜る。

そこかしこに広がる、
夏の気配から逃げるように、
現実から目を背け、
何も気付かなかった振りをして、
影に息を潜めるんだ。

6/29/2025, 7:11:25 AM