誰にも言えない秘密がある。
いや、"秘密"と言うには少し大袈裟かもしれない。
けれどあっけらかんと話すには不謹慎すぎること。
これは、そう、『誰を優先するか』という話である。
恋人か肉親か。
親友か恩人か。
子どもか老人か。
あるいは男か女か。
心理テストのような『命の優先順位』の話。
例えばもし。いや、"もし"や"万が一"なんて事が起こらない事を前提とし、それでも何らかの理不尽な出来事のせいで大切な者が失われかけた場合、私は果たして誰を優先するのだろうか?
答えは誰も知らない。
私の胸の内にしかないから。
けれどいざその時が来たら?
苦しんで苦しんで苦しんで、それでも最後には決めていた優先順位通りに手を伸ばす。手を離した命に、永遠に懺悔することになるのだとしても。
順位は所詮順位。
覚悟とは全くの別物だ。
失う後悔も苦しみも、本当は、何一つだっていらない。
(だから。失わない、力を)
秘密を秘密のまま。
誰にも知られず、そっと胸の内に閉まっておく為に。
【題:誰にも言えない秘密】
6/6/2024, 3:43:24 AM