かたいなか

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前回投稿分から続くおはなし。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち、不思議な狐の薬に詳しいお父さんは、都内の病院で漢方医をしておりました。

現在の東京は、インフルエンザ流行警報発令中。
お父さん狐が勤務しておる漢方外来でも、チラホラ、お子さんから貰ってしまったり運が悪かったりなどして、何人か休んでおります。

お父さん狐は狐なので、なにより稲荷狐ですので、
人間の風邪やらウィルスやらなんて、へっちゃら。
人間の代わりに積極的に、患者さんを診て、こっそり狐の薬茶など飲ませてやったりして、
病院で1徹、
病院に2泊、
食堂で3食とおやつも頂いて、
あれれ、今は何曜日……?

と、いう状態になっておったところ、
インフルダウンから回復して、しっかり免疫つけて帰ってきた別のお医者さんが、
あとは任せろと、お父さん狐の背を押しました。
だいたい1週間病院に泊まった、夜のことでした。

「ああ……かかさん、かかさん、いま帰るよ」

とってって、とってって。
化けの術がほぼほぼ溶けた、栄養状態の良いホンドギツネのお父さんが、尻尾を下げて歩きます。
とってって、とってって。
やがてお父さん狐は自宅の稲荷神社近くで夜だけ営業している、人外御用達の古い屋台に到着します。

「店主さん、てんしゅさん。
今日も、いつものお酒をひとまず、2杯ばかり」

お酒大好きな大古蛇のおやっさんは、常連のお父さん狐の顔を見て、あいよ、と返事しまして、
ひとまず、ノンアルコールの美味しいやつを、2杯コップに並々と注いでやりました。
そして、味のしみた餅巾着と、お揚げさんと、それから豚の角煮などをちょいちょい。
皿に盛って、出してやりました。

ところでここからお題回収。
お父さん狐の隣とそのまた隣の席で
完全にほろ酔いで泣き上戸しておる別世界人と
その別世界人のハナシをうんうん聞いてやっておる別世界人の淑女タッグが
お酒をくぴくぴ、おでんをはふはふ、
それからラーメンにソーセージ、うどんなど、
堪能して、おったのでした。

なんでも泣き上戸お嬢さん、
自分の仕事のサポートをさせているゴーレムを
相談役お嬢さんの親友さんに
超合体テキサスロングホーンロボとして
大改造劇的アドミンジャーされてしまったそうで
(※一部不明表現が含まれましたが
細かいことは気にしてはなりません)

「ボクの、あのゴーレム、ずっと友達なんだ」
えっぐ。えっぐ。くぴくぴもぐもぐ。
泣き上戸お嬢さんは、「ここ」ではない別の世界で管理局の職に就いておりましたが、
彼女が使っておるゴーレムには、ノンアルをノンアルと気付かず堪能中のお父さん狐の神社の、
いわゆる稲荷狐の秘術が、転用されておりました。

どうやら別世界人のお嬢さんがたは、
魂無きモノに魂を詰めて動かす稲荷秘術の転用元に
つまりお父さん狐の実家に、
ゴーレムを、診てもらいに来たようでした。

「ひどいよ、ひどいよ。
ボクのゴーレム、たしかにメンテナンスと、ちょっと銭湯を想定した、……銭湯、 せんとう?」
「うんうん。そうだねぇ。お水飲もうね」

「メンテナンスとチューニングに出す前に、
ボク、言ったんだ、『君と一緒に』って、
君と一緒に、これからもずっと、えーと、
なんだっけ、おしごと、おしょろこう?」
「そうだよねぇ。はい料理ちょっと食べようね〜」

「きみと、 君と一緒に、きみと、
テキサスロングホーンすらっしゅ」
「店主さんシジミのお吸い物お願いしまぁす」

あーあー。デロンデロンしてるなぁ。
隣の席を観察しながら、とうとうアルコール摂取を開始したお父さん狐は、コップをちびちび。
自分は、ああならないように、節制しよう。
そう誓ったお父さん狐は1時間後、
ゴーレム使いのお嬢さんと一緒に、デロンしておりましたとさ。 おしまい、おしまい。

1/7/2026, 3:53:03 AM