たやは

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花畑

私の国はこれと言った産業もなく国土のほとんとが山岳地帯と呼ばれる貧しい国だ。自慢があるとすれば、豊かな自然に育まれた綺麗で豊富な水があること。
そんな国だ。

水は至るとから湧いているので、青く透き通った池や民家の近くには井戸が多く、水を求めて動物や鳥もたくさん集まって来る。自分たちが食べる農作物を作るため、険しい山道を歩いて小さな農地へ向かうが、その途中で小さな小さな花が咲いているのを見つけた。

「こんなところにお花が咲いている」

妹はニコニコと嬉しそうに花に駆け寄っていった。

鬱蒼と茂る木々の間の小さなスペースに日の光が当たり、鳥が種を運んできたのだろうか、黄色の小さな花が咲いていた。
2、3輪の小さな花だか、この辺りでは花を見ることさえ珍しい。私たちにとってはこれでも立派な花畑だ。

「毎日見に来ようね。お姉ちゃん」

それから毎日、花畑の様子を見てから畑に通うよになった。1日中家事の手伝いや畑仕事に追われている私たちにとって小さな花畑は掛け替えのないものとなった。

でも、ささやかな幸せな時間は、水を求めて侵攻してきた隣国によって打ち砕かれてしまった。
空からはドローンの爆撃がやまず、地上では手に銃を持った隣国の兵士が次々とやつて来ては建物や畑を壊している。
私たちは住む場所を追われ、難民となり国を出なければならない。

私たちの国なのに。
私たちの家、畑なのに。
貧しい生活だったけど、そこには私たちだけの楽しい生活があった。
返して欲しい。
前と同じ暮らしを生活を返し欲しい。
どうして私たちだけが虐げられ、我慢を強要されるのか。

あの花畑はどうなってしまたのだろう。もう2度見ることの叶わない花畑を思い、ぬかるんだ道を裸足で歩き難民キャンプへ向かう。私たちはどうなってしまうのか。
誰にも分からない。
暗い道が続いているだけ。

9/18/2024, 4:48:34 AM