阿呆鳥

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【伝えたい】

 好きな人には好きな人がいるが、その相手は私じゃない。どうしても交わらない想いが苦しくて、叫びだしてしまいたかった。貴方のことを分かっているのは私だけ、一番見てきたのも私だよ、と。しかし、それを叫んだとしてもおふざけとして流されるのがオチだろう。幼稚園の頃からの友達だ。もはや家族だと思っているのだろう、相手は私を意識してくれていない。

「やっぱり、告白してくるわ!」

 何かと行動に移すのが早いところも好きだ。相手しか見えておらず、突っ走ってしまう所が長所であり短所なのだろう。どうか告白が成功しませんように、なんて願ってしまう私は相当性格が悪い。
 暫くして戻ってきた彼は、顔を真っ赤にさせて「成功した……」と呟きうずくまっていた。視界が歪み、足元がふらついた。あぁ、成功しちゃったんだ。
 いつまでも蹲っている彼の頭を叩き、溢れそうになる涙を堪えながら声を出した。

「おめでと」
「おう、まだ夢見心地だわ……てか、なんで泣いてんの? 大丈夫?」
「バカ。悔し泣きだわ。貴様の方が先に恋人ができるなんて……」
「はは、メンゴ」

 私が先に彼への想いを伝えてたら、結果は違ったのかな。黒く渦巻く気持ちを吐き出せずに、彼の背中を見つめて呟いた。

「大好きだよ」

 伝えられない想いを、いつか正面から伝えたい。

2/12/2026, 11:24:11 PM