「その靴ボロボロだね」
唐突に男友達から言われた。
「何急に」
靴紐を縛る手を止めて振り返る。
「いや、千佳っていつもこの靴履いてるなーって。覚えてる範囲だと中1くらいから?」
いや、正確には小6だ。成長期が早期に止まった私は、靴のサイズも当たり前に変わっていない。
「なんか思い入れでもあるの?」
「んーそうだな…」
本当は言おうか迷ってたけど、かれこれ4年以上一緒にいるので、もういいや!と思って全部話した。
「私の亡くなった母さんが履いてた靴。サイズもぴったりだし、何より母さんの好みと私の好みが合ってるからね」
4年前に病気で亡くなった母。その時の形見としてこれを履いてる。
「へー」
男友達の奏真は考えてから、はっきりと言う。
「お前、すごいよ」
母に似た顔で精一杯の笑顔を奏真に見せた。
『お気に入り』
2/17/2026, 11:02:13 AM