星音

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どんよりとした暗く、今にも泣き出しそうな空。
街を歩く人は気持ち足早だが、私は、そんな空を見上げながら、ゆっくりと歩く。
急ぐ余裕も今の私には、なかった。
なんで、あんな事を言ってしまったのだろう。
「はぁぁぁ……」
私は、大きく溜め息をついた。
その直後、大粒の雨がポタポタと落ちてきた。
私は、傘もささずに歩き続けていた。
すると、
「おい!」
「え?」
後ろから、不意に呼び止められた。
聞き覚えのある声に振り返るとそこには、びしょ濡れになった彼がいた。
さっき喧嘩したばかりだと言うのに、探してくれたのだろうか。
「なにやってんだ!こんな所で!傘もささないで!」
「何だっていいじゃない!」
嬉しいはずなのに、素直じゃない私は、思ってる事とは違う言葉が出てきてしまった。
「ったく⋯。まぁいい。とりあえず、この中に入れ。」
「は?え、ちょっと!?」
そう言って、彼は、私の腕を強引に引っ張れた。
所謂相合傘というやつだ。
私は恥ずかしくなり、外に出ようとするが、彼はそうはさせてくれなかった。
仕方なく、そのまま黙って歩く事にした。
無言が続き、気まずい思いをしていると、彼が不意に口を開いた。
「なぁ、さっきはごめん。俺が悪かったよ」
「え?」
「だから、ごめんって」
彼の顔を見ると、少し照れた様子で、頭をかいていた。
そんな彼の意外な反応に私は驚いた。
そして、そんな素直な彼に、私も自然と素直になることができた。
「私も、ごめんなさい」
「いや、あれは俺が悪いから!」
そんなやり取りをした後、2人で笑いあった。


一次創作
物憂気な空

2/26/2026, 1:40:29 AM