名無しさん

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『星に包まれて』

「天体観測してみない?」
望遠鏡なんて大層なものは持ってなくて
やすっぽっちな双眼鏡を首からぶら下げて、楽しそうに君は言った。
どこでやるのさ、と呆れ気味に返したら
「そりゃあもちろん君の家でしょ」
と、許可を取るとか考えもせずに言っていた。

仕方が無いので、君を家に呼んだ。
少し広いベランダには、ハンモックと折りたたみ式の椅子があって
ハンモックは私のーなんて言って、家主の僕を置いて乗っかってたよね。
君はハンモック、僕は椅子の上。
ふたりとも違う視点で夜空を見上げた。

空気が冷たいせいか、星が綺麗に光っている。
あれ、と指さす先には、流れ星が一瞬滑るように消えた。
本物だ、というよく分からない感想を
ふたりで顔を見合せて言ったよね。

金平糖が弾けるように、ぱらぱらと流れ星が通り過ぎる。
あっちに流れた
次はこっち
どこに流れるか分からなかったから、周りをぐるっと見渡してみたり
家のベランダからの景色なのに、広さを感じたりして。
最後は床に寝転がって、星に包まれたような気分になったりして。
楽しんでいたら、あっという間に夜は過ぎる。
さすがに心配になったお母さんがココアを2人分持ってきたから、その日はお開きに。
リビングでココアを飲みながら、流れ星の話をしたね。

最近は暇がなかったけど、今日久しぶりに夜空を見たんだ。
昔と同じ星が見えたよ。

12/30/2025, 1:14:44 PM