【あの夢のつづきを】
俺は一度、夢を諦めたことがある
きっかけは本当、些細なことだった
正直、その時はそれが最善だと本気で思っていた
あいつらには何も告げず、俺は舞台から去った
あいつらの居ない日常にもやっと慣れて来た頃
ふらっと、立ち寄った劇団で演劇を見た
出来たばかりで素人レベルの演劇だったが
ふと、自分が“自分だったら…”
“あいつらとだったら…”と考えていることに気づく
(あれ、俺、こんなに演劇、好きだったっけ?)
そう思ったら、居ても立っても居られなくて
気づいた時にはあいつらのいる劇団に走っていた
扉を開けるとあいつらが俺の方を見ている
「今更、何しに来た」
『ごめんなさい、都合が良い
自分勝手だってことは分かってる
二度とこの劇団に関わるなと言うならそうする
それでも、俺はお前らと
もう一度あの舞台に立ちたい』
あいつらと俺の間に緊張が走る
「…もう、俺たちを置いて行かないと誓うか?」
『っ…誓う、誓うよ』
「…おかえり」
『…ただいま』
(ありがとう、こんな俺をもう一度受け入れてくれて)
「それはそうと、なんで劇団を抜けたんだ?」
『あっ…えっと…その…』
「はぁ⁉︎‘脅迫文が届いてた’だ⁉︎」
『うん…‘俺が辞めないと劇団ごと潰す’って』
「ばっか!そう言うことは先に言うんだよ‼︎」
『ごめん、前々からそう言うの結構あったから…
それに俺のことでお前らのこと巻き込むの
なんか、申し訳なかったし…』
「俺が厳しい過ぎたかもとか
変なこと考えたって言うのに…お前は💢」
『それは、ごめん…』
「二度とそう言うことするなよ!絶対だぞ!」
『分かったよ』
ありがとう、俺のことを受け入れて
俺にあの日の夢の続きを見させてくれて
やっぱり、お前らといるのが一番良いや
1/12/2025, 11:11:29 AM