「ねぇねぇ、もしもこの世界が終わるなら?
君はどうする??」
先輩との会話は、唐突に始まる。
今日の議題は、『もしも世界が終わるなら』だそう。
そして、いつも通り断りもなく煙草に火をつける先輩
はぁー...とため息をひとつ零し、窓を開け灰皿を準備する。
「そーですね、多分いつも通りに過ごすと思いますよ」
普段と変わらずスマホを見て
普段と変わらず飯を食べ
普段と変わらず勉強に勤しむだろう
僕みたいな平凡な人間はきっとそうする
「うーん、君はやっぱり面白い!どんな世界になろうと君は平凡で居続けるだろうさ」
貶してるのか、褒めてるのか分からないことを先輩は言う。
「面白ついでに言おう、この『もしも』は現実になるし、それは明日だ。」
さらに続けて突拍子もないことを自信満々に言うのだ
やれやれと言う気持ちと、この人の話にはちゃんと理由があることを知っている。だから僕は聞き捨てならない内容を今回はいうなと思ってしまう。
「さぁ、もう一度聞こう。『もしも世界が終わるなら』そして、それが明日だとするなら君はどうする?」
にたにたと笑い煙草を吹かす先輩
聞かれた答えについては、依然として変わらない
「そうですね、やっぱりいつも通り過ごします。
これから先輩とご飯を食べて、酒を飲みます。
先輩が帰ったら課題をこなし眠ります。
ただ、本当に世界が終わってしまうなら
.....いつもよりほんの少しだけ長く眠りたいですかねー」
キョトンとした顔をした先輩。
ぽとっと灰が膝の上に落ちた。
「......ふふ、あはは!面白いな、やっぱり
なにかをする訳でもなく、ほんの少しだけ長く眠りたいか!あははは」
「そんなに笑わなくてもいいじゃなぃですか!
そんなに言うなら、先輩は何をするですか!」
ゲラゲラと笑う先輩にちょっとだけムカついた。
それと同時に先輩の答えも気になった。
「あはは、はぁぁあ。そうだね。後輩、君と共に過ごしたいと思うなー
他愛もないくだらない話で終わる世界を共に待ちたいかな......」
先輩の笑っていた顔が静かに物憂げな顔へと変わる。
分かってしまった。この『もしも』は必ず来る。近いうちに......
「先輩、じゃあ今日だけ、今夜だけちょっと贅沢しません?これから酒盛りして美味しいご飯食べて
明日からは、いつもみたいに過ごしませんか?」
「いいねぇー、じゃあとっておきを持ってこよう。
君は日本酒もいける口だったよね?」
「いけますよ!なんなら大好物です。なんで、準備進めますね。それと風呂入ってきてくださいよー少し臭いますから」
「あははは、わかったよ。シャワー浴びてくるから美味しいご飯よろしくねー」
終わると思うからこの日が輝くし
終わらないと思うから、また来ると思ってしまう
終わってしまうなら、永遠とこの時間が続いて欲しい
終わないとしたら、先輩と同じ時を同じ場所を過ごしたい。
それが僕の日常なのだから。
9/19/2025, 1:26:55 AM