【ベルの音】
新幹線からJR線に乗り換え、さらにローカル線のホームへと向かう。都内の自宅を出てから3時間が経とうとしていた。
ホームにはすでにN駅行きの電車が停車していたが発車するのは25分後である。
座席に腰を降ろし荷物やお土産の紙袋を網棚に乗せた。
暖房の効いた車内には貴弘の他に60代くらいの女性が1人、部活帰りの男子高校生が2人いるだけであった。
2年ぶりの帰省である。
キレイに年内の仕事を片付け、両親や親戚たちへのお土産も万全に準備できた。
甥っ子に会えるのも楽しみだ、ばあちゃんもまだまだ元気にしているか、などと案外浮かれている自分に気づく。
予定通りの電車に乗れた事を父、貴之にLINEで知らせて発車を待つ。
日陰にはうっすらと雪が残り、古い住宅や建物がぽつりぽつりとある以外は田んぼや畑が広がっているだけの景色を見渡す。
遠くには白羽山脈が雪を被って広がり、懐かしさや自然の雄大さに圧倒された。
すっかり清々しい気分になったところで「パッパァーン」とローカル線の発車のベルが小気味よく鳴り響いた。
もうすぐ2年ぶりの実家に到着するのだ。
12/21/2023, 4:44:12 AM