300字小説
XDay
何年も前から態度が変わってきていたのには感づいていた。決定的になったのは一年前の七夕の夜。それでも年に一度の逢瀬は明け方まで一緒に居たのに『用事が出来た』と、そそくさと帰ってしまった。鵲達の調査によると相手は若い天女らしい。その小娘が私からマウントを取る為に彼に早く切り上げて自分のもとに来るよう唆したのだ。
「それに乗った時点で彼も同罪だけど」
そして、一年。父である天帝に集めた証拠を突きつけ、二人の処遇については私に一任すると許可を取った。西洋の女神のように括り付け天の川に流してやろうか。仲良く地上に堕としてやろうか。
七月七日のXDayに向けて織姫は笑みながら、当日の衣装と化粧を念入りに選ぶ。
お題「1年前」
6/16/2024, 10:44:00 AM