藍間

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 会いたいと願ってしまったら負け。そんなことはわかっているのに、つい彼女のことが思い浮かんだ。
 たとえば朝焼けが綺麗だった時。たとえば風が強かった時。そんな些細なことでも思い出すのだから、もう症状は末期だった。
 ふと見上げた雲が彼女に似ていると思った時、ついに俺は諦めた。
 彼女を忘れることなんて無理だ、と。
 もう二度と会えないあの笑顔を恋しく思ったところで意味はないのに、この体も心もそれを欲しているらしい。
 だから俺は墓参りをすることにした。
 彼女はもういないのだ。そのことをこの愚かな自分に突きつけるために。どうにか明日へと、足を踏み出すために。

5/4/2023, 11:55:52 AM