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新卒社会人
その華々しさは名ばかりで
16年、人生の半分以上の時を過ごした
学校という規律ある狭いコミュニティから放り出される
それが社会人になるということ。

23歳、アルバイトの経験もない私
16年で積んだ知識の殆どが
今に生かされぬということを知る。

「商談…接待…生活…」
ポソポソと口から漏れるそれらは
学校でほとんど習わなかった物である

経済学を履修したところで、この世の経済が読めるようになる訳では無いし
化学を履修したところで、この世の謎を解明できる訳では無い。
私は知らなかった
習ったものその殆どが、必履修ではなく応用だったのだ

学んだことをどれだけ生かせるか
結局は己のポテンシャルの話なのである
「臨機応変ってわかる?あなたにはそれが足りない」
臨機応変の四文字は習っても、具体的なその活路は習っていない。

「自己主張と協調性のバランスを上手く取らないとやっていけないよ」
個性をのばし協調する方法は習っても、なんでも飲み込むことを協調性とは習ってないし、相手の顔色を伺いながらベストアンサーを放つことが自己主張とは習ってない。

屁理屈なのだ、所詮は屁理屈
私はこの世に馴染むことを心のどこかで拒んでいる
怖いのだ、本当に放り出されたと認めるのが

認められ、認める。それがこの世で1番大切なこととは分かっていても
私がこの世に必要なのだと認められ
私はこの世の歯車のひとつなのだと認める

私は今日も風に身を任せる
いつか誰かに認められ、私が私を認めるまで
私はこの世を否定しながら、私自身を否定しながら。



【風に身を任せ】



あとがき

珍しく終わりのないお話です。
彼女はいつか気付けるでしょうか
流れることだけが全てでないこと
焦ることが最善でないこと
幼子の様な焦燥や我儘を大人の言葉で書き連ねた
皆さんも通ったことがある道かもしれませんね
今この道を通っている方
そんなに焦らなくても上手にやらなくても
時間は進んでいくものです
いつの間にかそれも蓄積され、学び
いつかのあなたに繋がります。
今のあなたと、環境と向き合って
どうか、あなたのままで。


5/14/2024, 1:14:41 PM