杙里 みやで

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「落下」

この学校の屋上から飛び降りたらどうなるのだろうか
学校が視界の端に写った時、そう思う。
別に死にたい訳じゃない。自殺場を探すのが趣味という訳でもない。ただ、何となく思うのだ。
人は死んだらどうなるのだろうか、と
残された側は葬式や財産分与等やる事がある上に、故人に対しての想いや思い出を密かに思い出すのだろう。しかし、死んだ側としてはどうなのだろうか。
死んだら意識はあるのだろうか。死んでも尚、思考をする事は出来るのだろうか。死んだら天国や地獄、というものは存在するのだろうか。
グルグル思考が纏まらなくなった所で、考えるのを辞めた。
「これで授業を終わりとする。」
いつの間にか授業は終わっていたらしい。
考えていたお陰で当然、ノートは真っ白だ。
ノートを写そうか数秒考え後、机の中にノートをしまい込んだ。

屋上に行こう
ふと、そう思った。
今は丁度昼休憩で屋上が空いている、行くなら今しかない。
お弁当を持って、教室を後にした。

屋上に続く扉に手を掛けた所で、少し異変を感じた。
人の声が一切聞こえない、人影が見えない、つまり人が誰もいないのだ。何時もは人気の屋上、何故か今日だけは誰もいない。

試すなら今だ。

好奇心が囁く。

屋上の扉を開けて、1歩、1歩、足を踏み入れる。

フェンスが目の前に来た所で、フェンスをよじ登る。

下を見下ろすと地面であるコンクリートが見える。

好奇心と僕は「落下」した。


僕と好奇心は「心中」をしたのだ。

6/18/2024, 3:24:34 PM