のなめ

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あなたの、優しい所が好き。
他人のことで涙を流せるような、感情が豊かなあなたが好き。
誰かの喜びを、自分の事のように喜べるあなたが好き。
小さな生き物の死にも真剣に向き合って、涙を流せるあなたが好き。
だから、さようならを言おうと思った。

「さようなら、また夢で会おうね」


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きみの、桃色に染った頬を可愛いと思った。
風に吹かれて揺れる黒髪も、人より少し短いまつ毛も、きみを形作る全てが愛おしかった。
だから、両想いだって知ってすごく嬉しかったんだ。
そんな想いをきみに伝えた日の帰り際、きみはすごく綺麗に笑って言った。

「さようなら、また夢で会おうね」

振り向くと、目の前で綺麗に笑う君が柵の向こうに見えた。
ぐらり、とスローモーションのように後ろに倒れる君は、迫り来るライトに照らされてまるで天使みたいだった。

その日から、毎日君の形をした悪夢がそばに居る。

11/14/2024, 5:42:31 AM