「〇〇ちゃんって、本当に純真無垢!って感じだよね〜!」
「なんでそんなに優しいの!」
こういう言葉をよく言われる。
人に優しくすると感謝されて、所作を丁寧にすると清楚に見られる。
悪口を言わないように気をつければ、性格がいいと言われる。
みんながふざけて下品なことを言っている中で、困ったように笑えば純粋だと言われる。
そういう私を演じている。
だって、そうすればみんな私のことを嫌いにならないでしょう?
親切に穏やかに接して損はないから。
「心が綺麗だね」って、私の腹の中を知ってもそんなことが言えるのだろうか。
この世界で本当に無垢な人間は幼い子どもくらいだと思う。
無垢な人なんていない。そう見える人がいるなら、その人は“無垢を演じるのが上手い人”だろう。
「〇〇ちゃん、ありがとう!助かったよ〜!」
「純粋な〇〇ちゃんに変なこと言わないで!!」
今日も私は無垢な良い人を演じる。
真っ赤な嘘で塗り固められた、無垢な私を。
お題『無垢』
5/31/2024, 1:15:18 PM