金曜の夕方。
初夏に差しかかると、仕事が終わるころもまだ明るい。
珍しく定時に会社を出ると、周りはまだ日暮れになっていなかった。
金曜がまだ半日残っているような錯覚に陥る。
金、土、日の二日半、自由を得た僕は、
早々に帰宅すると、シャワーを浴び、休日モードになる。
スーパーにでも行こうか。
車に乗って、食料の買い出しに向かった。
週末の夕方、国道はひどく混む。
普段ならイライラを募らせるが、今日は余裕だ。
カーラジオからは、週末の催し物を伝えるアナウンサーの声。
数週間後の父の日に贈るプレゼントの商戦が始まっているようだ。
ふと、父親のことを思い返した。
定年を迎え、悠々自適に余生を過していた父が、ガンで亡くなったのが、3年前。
葬儀の後、母と共に実家で遺品を整理していたら、
たくさんのキャンプ用品が残されていたのが印象的だった。
定年後に趣味として始めようと買ったのだろう、
使い込まれていないまだ新しい品々に、胸が締め付けられる思いだった。
あのキャンプ用品、そのままにしてたな…
気がつくと、高速の乗り口へ。
実家方面へとハンドルを切っていた。
沈む夕日を背に、一路。
週末は、ソロキャンプと洒落込むことにした。
4/7/2023, 10:24:22 AM