せつか

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手で作るキツネやカニやカタツムリ。
それを当てるだけの遊びがなぜあんなにも楽しかったのだろう?
娯楽が無い時代だった?
そんなことは無い。小学生の頃にはファミコンもあったし人生ゲームもあったしけん玉もリカちゃん人形もあった。
遊び道具ならいくらでもあったのに、影絵があんなに楽しかったのはなぜなんだろう?
作ってくれた親や先生の、私を楽しませようという気持ちが伝わってきたからだろうか?
手で作る影絵を全部当てた次の日には、紙で人形や動物を作ってくれた。壁に映る影だけのウサギやお姫様がやけにミステリアスで綺麗なものに見えた。

今はもう、それに感嘆の声を上げることもない。

自分の子供に影絵を見せてあげることの無い私は、大人になるにつれて何かを無くしていったのだろうか。


END



「影絵」

4/20/2025, 12:09:31 AM