るに

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私は逃げるように家を出た。
部屋に充満していた、
私の大嫌いなゆずの香り。
姉と2人暮らしなのだけど
好みが恐ろしく違う。
喧嘩しそうになると
無言でどちらかが頭を冷やしに行く
それが私たち。
今日は私が出ていく番。
といっても
行くところも特に無く、
頭も冷めず
目を擦って歩くことしか出来なかった。
こんな毎日を過ごして
果たして幸せになれる日は来るのか。
そんな考えばかり浮かんでくる。
少し上を向いて歩いていた時、
白髪の綺麗な少女とぶつかった。
謝ろうとすると
ほぉ。これは中々良さそうだ。
と言い
私を強引に引っ張って
どこかへ連れていった。
よくわからないまま
ただ走っていた。
ここは?
聞くとここは白雲峠と言うらしい。
見晴らしが良かったので
そっちに気を取られていると
少女はオオカミになっていた。
キミ、今の生活が気に食わないんでしょ?
ボクも人間の時はそうだった。
でもね、ネブラスオオカミは
ボクを救ってくれたんだ。
この少女は何を言っているんだろう。
そろそろ分からなくなってきたんじゃない?
ボクは優しいから
キミみたいな人を救いたくてさ。
少女の言葉の意味がわからない。
なんというか、
知らない言語で話しかけられてるみたいな。
救う…と言っても、
偉い人に頼まれてキミを呼んだんだけどね。
あー、2割に入っちゃいそう。
最後に聞こえたのは
そんな少女の狂った声だった。
"Good Midnight!"
ちょっと
家を出ていくってどういうことよ!
しかも白雲峠に行くって、
どこよそこ!
荒らげた姉の声が聞こえてくる。
お姉ちゃん私
素晴らしいことに気がついて
それになりたくなったの!
白髪の少女がね、
私のことを救ってくれるって!
私、ネブラスオオカミって素晴らしいと思う!

12/22/2024, 11:13:37 AM