pipe.

Open App

 朝の5時、朝霧が晴れて海がすっきりみえる
今日の波は穏やかで、防波堤に打つ波はトロッとしていた
海沿いの緑地公園、小さな丘があり、そこにある東屋で
コンビニのコーヒーを飲むのが私の趣味。毎日ではない。
早起きして時間があるとき、ふとここに来たくなったとき
仕事の前でも休みの日でもここに来て海を眺める。
朝はいつも風が静かで涼しく心地よいので、不意につく溜め息にも幸福が混ざる、きっとここは私のオアシスだ。

私はいつもここで妻のことを考える
彼女は病気ではないが人より物事や言葉を敏感に感じとる性質で不安や緊張に弱く、ここ数年仕事が出来ず人との関わりも避けている。
友人たちとも、つい自分と比較してしまい落ち込むので距離を置いてしまう。
情緒に波があり悪いときは死にたいと嘆き、良いときは散歩に出掛けたり午前中から料理や掃除など家事をする。
そんな妻との暮らしはそれなりに楽しく、私としては充実した生活を送れていると思っている。
しかし、妻のことを想うとどうにかしてやりたいと、彼女の理想の自分や暮らしに近づけてやりたいと悩んでいる。
今まで色々と話し合って試してみたが良い方法は見つからず、このままでも大丈夫だよと言う反面、ずっとこのままなのだろうかと苦悶する。
私は無力。大切な人1人幸せに出来ないなどと焦心する。
妻は私に、一緒に居てくれるだけで私は幸せ者ですと言うが、やはりそれだけでは生きている意味を見いだせてはいないのが見ていて分かる。
時間と共に変わってゆく想いや環境があるなかで、時代には合わせて生きてゆかねば、社会の中で、人の巡る世界で幸せにはなれない。
妻との二人きりの世界で生きたいと私は思う。

そんな私がこの公園に来ると何故か知らぬがこう思う。
きっと妻は、彼女は自分で乗り越えてくれるだろう、すべて思うままに任せてみよう。そう思える。
だから私はここで1人でいたいのだ。

7/31/2024, 9:36:39 PM