スランプななめくじ

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愛する彼に振られた深夜2時。
夜の公園に呼び出され、放たれたのは別れ話。
彼の顔は、憑き物が落ちたように晴れやかだった。

虚しい。寂しい。悲しい。
月は私を煌々と照らす。いつもより眩しく感じた。
心がぽっかり空いたような、何かを失ったような気分。
無意識に足を進めた先は、家ではなく夜の街だった。



ふらふらと酒も飲んでいないのに千鳥足で彷徨う。
肩をぶつけ、怒鳴られ、荷物があたり、
よろけた先に居た見知らぬ男。
誰でもいい。なんでもいい。
心に空いた空洞を埋めて欲しかった。
彼じゃなくても良かった。

目配せで伝わる夜の雰囲気。
相手の顔なんてろくに見てない。
ただ、この切なさを紛らわすための相手。
それ以上でも以下でもない。
この一夜だけの関係が、心地良かった。

月明かりの届かない所まで、手を絡めて歩き出す。
深夜の闇に溶け込んで、心の傷を塞いで欲しい。
彼のことを忘れてしまえるように。
彼以外でも愛せてしまえるように。

1/26/2024, 12:37:08 PM