-まって-
「まって。ラーメンにお湯注ぐ」
アンがいつになく真剣な顔をするから、先に昼食をなんとかすることにした。
僕にだって心の準備が必要なのだ。
アンの目線がポットに注がれている。
水の音だけが沁み入る静寂。
これは、かなり深く悩んでいるようだ。
「で、何がそんなに気になっているの」
「…あたしって、そんなに火星から落っこちてきたように見える?」
アンが勇気を振り絞って、震えた声をあげる。
彼女の春雨スープはそろそろ食べられるはずだけど…今は眼中にないらしい。
「……いや、それを僕に聞く?」
5/19/2025, 3:47:39 AM