2023,08,21『鳥のように』
乾燥した爽やかな風が吹き始めた頃、
僕は橙と藍に挟まれた空の下で両腕をめいっぱい広げた。
そして瞳を閉じ、風の流れを感じる。
想像の中の僕はいつだって自由に空を飛べる。
茜空の前でどっしり構える黒々とした山々も、僕なら一気に飛び越えて行ける。
誰にも邪魔されない広々とした空間は、まるで地球のスイートルームだ。
ふと17時のチャイムが聞こえ、僕は即座に意識を戻した。
空は先程より群青が増し、鈴虫の声と共に夜へ導かれる。
随分と日が短くなったなぁ。
鳥のように飛ぶのは、また明日。
8/21/2023, 3:22:52 PM