夜兎

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「……好きだよ。付き合ってくれる?」

秋晴れの空の下、僕は想いを告げた。
リンゴのように赤く染まった彼女の頬にそっと触れた。

彼女との出会いは、桜咲き乱れる春。
友人の従妹として紹介され、一目で恋に落ちた。

栗色のふわりとした髪に、くりっとした大きな瞳。
聞いていると思わず笑みが浮かぶほどの可愛い声。
彼女の全てに心を奪われた。

それからは下心を隠し友人として距離を縮めていった。
彼女の周囲にいる男には、さりげなく牽制を忘れず、
少しずつ、確実に友人として信頼関係を築いてきた。

それなのに、全てを壊すような突然の告白。
彼女はどう思ったのだろうか。

「……ずるいよ。そんな態度見せてこなかったのに、急にそんな……」

「ごめん。……ただ、返事は急かす気はないんだ。ただ伝えておきたかったからさ」

「……うん」

不意に彼女の顔がそっと近づき、唇に温かな感触が触れる。
そのまま悪戯が成功したかのように微笑んだ。

「これが、私からの返事ね」



#秋恋

10/9/2025, 11:43:00 AM